20060623 ドアの向こう

環境が変わって、最近の私の日々は目まぐるしい。
スケジュール帳を買った。
今更な時期なので(笑)、格安になって75%offで*
今まではほとんど使わなかった時間刻みのスケジュール帳。
結構大きめのそれは、私には不釣合いにも思える。

仕事を変えようと決めてから、引継ぎだの後任だの送別会だの
ばたばたとした2ヶ月間。
たくさんの温かい人に背中を押してもらって、私は新しいドアの
向こうに今立っている。
1人でやってきたんではなく、快く応援してくれた人のおかげ。
ありがたい。

送別会は盛大で、マネージャーもヒルズのイベントから遅れて
駆けつけてくれた。
「遅れてごめん」
と言いながら、お詫びにと赤い花束を片手に持って。
それだけで泣きそうになってしまったほど。

結局、送別会の解散時間は朝の4時。
見事に泣かされてしまった。
私のお兄ちゃん役の男性が
「雨ちゃん、絶対泣かせるからな!」
と言って、仕切ってたくさんの人を呼んでくれた。

明るい朝日を浴びながら、タクシーで散っていく人に手を振った。
横浜へ帰りながら、1人タクシーの中で清清しい気持ちで。
寂しくて不安な気持ちも混ざって、あーこういうのって久々だなあ。
でも私ってこういうことの繰り返しの人生だなあ。
などと思い出しながら。
やどかり人生の私は、出会いと別れが多い。
別れるときはいつもとても寂しい。

自由であることと孤独は似ている。

送り出してくれた人たちに出来る恩返しは、生き生きと
生きる事。
だから、ここで頑張ろうと思う。

今までみたくL字の広ーい机じゃなくて、パーテーションもなくて
ごちゃごちゃしていて、もので埋もれそうな見慣れないデスク。
見慣れない顔の人たちがバタバタと行きかう。

今は研修続きでちょっとくたくただけど、でも研修の内容はたまに
楽しいことも。
冬の雑貨や洋服をあれこれ並べて、機能性やおしゃれ度をチェックする。
そんなことを真面目に会議する。
それが仕事なんて、私にはまったく新鮮。笑



帰りが遅くなった途端、不規則なご飯。
夜は前職の人と飲みに行ったりなんだり。
自炊さえ億劫になる。

でも忙しくてそわそわしてる時期だからこそ
ちゃんと作らなくっちゃ。簡単でも自分で作ったものを食べよう。
そう思い立って「おうどん」を。

昆布と鰹で出汁をとって、麺は冷凍の讃岐うどん
出汁をとるだけで、味が断然よくなる。
葱をたっぷり刻んで、卵を落とした。
(卵は最初から崩さない派)

「ごちそうさま」
そう手を合わせると、ほっとする。
食って大事ね。



今週発売された「やさしい野菜やさしい器」
仕事帰りに、青山ブックセンターの出版記念イベントに寄った。
遅れまくって結局半分しか聞けなかったけど、感じるものが
あったので良しとしよう。

器が好きな人
料理が好きな人
そんなひとがいっぱい集まった会場は和やかで暖かな空気だった。
料理で人を喜ばす人。元気にする人。
私の知っているそれらの人はみんな共通して温かい人。
そういう思いが、料理の調味料として入っちゃうんだろうな。
だから沁みるんだろうな。体にも心にも。
そしてそれは絶対に機械では真似できない。
手だからできること。

イベントでannoncookのしぶやさんにもお会いした。
「あら!」
「まあ!久しぶりですー!」
なんていいながらしばしおしゃべり。
8月くらいにはお料理教室のイベントも計画中だとか。
興味のある人はぜひ*

帰り道。
疲労がたまって体はちょっとくたくたな中、本をはじめて開いた。
読んでいくうちに、次第に元気になって電車を降りる頃
私の足は軽やかだった。
くたくただけど、ちゃんとご飯作って食べよう!
そう思いながら。

家に帰って、丁寧に野菜を茹でた。
アスパラにキャベツにトマトに長ネギに玉ねぎ。
野菜のご機嫌を伺いながら、丁寧に湯を通して。
食べているもので私は生かされてるのだから。
イチカワさんのYou are what you eat
というフレーズで、マクロビを思い出してしまった。
いかんいかん。最近実行出来てないなあ。。。

その夜 本の感想を早速、祥見さんに送った。
本当はそんな元気がなかったけれど、何かを伝えたいと思ったから。

青木亮さんの器の写真を見ながら少し泣いた。
私が大事に使っている青木さんのどんぶり。
青木さんは去年の6月に急逝された。
私がはじめて器を買った翌月だった。
だから青木さんの器はたった一つだけ。
もうあれを作れる人はいないのだ。そう思っただけで涙が出る。
不思議。
会ったこともないのに、器に手を当てるとじんわりとしてしまう。

目まぐるしく、少し心細い日々。
今日は久々に、ゆっくり日記を書いて整理。
たちばなのかりんとうをかじりながら、静かな夜。

夏はもうすぐかな。